近年、多くの種類の吸入薬が発売されています。気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対しては吸入療法が有用ですが、内服薬と異なり、正確な手技により確実に吸入できないと効果が期待できません。吸入手順もそれぞれのデバイスで異なるため、患者さんも指導に当たる医療従事者も戸惑うことが少なくありません。
そのため、鈴鹿亀山薬剤師会では、地域の医療機関の医師と保険薬局の薬剤師が連携して患者さんの吸入指導を実施することが重要であると考え、2019(平成31)年2月から鈴鹿回生病院様と吸入療法連携の取り組みを開始したところです。
また、その取り組みを地域に広く展開し、2019(令和元)年8月1日から三重県厚生農業協同組合連合会鈴鹿中央総合病院様をはじめとする鈴鹿市医師会会員様とも患者情報を共有して吸入指導に連携して取り組んでいくこととしています。
社会医療法人峰和会回生病院様との吸入指導連携
回生病院の以下のサイトで確認をお願いします。
社会医療法人峰和会鈴鹿回生病院 薬剤課 地域連携「吸入指導連携」サイトにリンクJA三重厚生連鈴鹿中央総合病院様との吸入指導連携
JA三重厚生連鈴鹿中央総合病院との吸入指導連携は昨年8月に事業を開始したところですが、同病院では昨年12月から院内電子カルテと対応して「吸入指導依頼書」を自動発行できるようにシステムの改良を行い、現在、呼吸器内科以外の診療科におきましても吸入指導依頼書が発行されています。このような状況を踏まえ、この度、吸入指導評価表のFax送信先について下記2.のとおり整理をしていただきました。
注)処方箋の備考欄の医師コメントとして、「吸入指導をお願いします」とある場合も同様に吸入指導をしていただき、吸入指導評価表(このページの下段からダウンロード可)を作成し、速やかに処方医あてFax送信してください。
会員薬局様におかれましては、下記事項にご留意の上、送信先をお間違えなきよう引き続き適切な対応をよろしくお願いいたします。また、ご不明な点があるときは、事務局(TEL:059-381-2233)まで照会していただきますようお願いいたします。
記
1.鈴鹿中央総合病院では、院内電子カルテと連携して「吸入指導依頼書」を自動発行しますが基本的な様式等に変わりありません。また、同依頼書を受領した薬局で適切な吸入指導を実施して吸入指導評価表(このページの下段からダウンロード可)を作成し、速やかに処方医あてFax送信していただく吸入指導連携のシステムに変更はございません。
2.吸入指導評価表のFax送信先は、同病院薬剤部ではなく以下の処方医あてとなります。
(1) 呼吸器内科・外科はFax:059-384-1033
(2) 上記以外の診療科はFax:059-384-1076
一般社団法人鈴鹿市医師会様との吸入指導連携
以下、具体的な吸入指導の連携プロセスをご説明いたします。
1.吸入指導連携フロー
2.吸入指導依頼書(様式及び記載例)
3.吸入指導評価表(様式及び記載例)
4.吸入指導連携参加薬局名簿
5.吸入指導連携に関するQ&A
1.吸入指導連携フロー
(1)医療機関
<医師>
① 患者に対し、吸入指導の重要性、吸入指導の連携について説明し、同意を得る。
② 吸入指導依頼書を作成し、評価表を印刷する。その後、処方せんを発行する。
③ なお、可能であれば、薬剤をオーダーする際に、用法の下に「吸入指導依頼書・評価表あり」のコメント等を記載していただく。
④ 処方せんとともに、吸入指導依頼書・評価表を患者に交付する。
(2)保険薬局
<患者>
①処方せんとともに、吸入指導依頼書・評価表を保険薬局に提出する。
<保険薬局の薬剤師>
② Faxされたあるいは患者さんが持参した吸入指導依頼書の内容を確認して吸入指導を行い、吸入指導評価表を記入する。
③ 吸入指導評価表を処方せん発行元の医療機関へFaxで送信する。
(3)医療機関
<医師>
医師は、吸入指導評価表を参考に、診察を行う。
(4)医療機関&保険薬局
<2回目以降>
医師は、必要時、継続指導を依頼し、薬剤師からの情報を求める。薬剤師は、必要時、医師に患者情報を提供する。
<留意事項>
1.吸入指導依頼書の発行:受診の度に発行されるわけではなく、医師が必要と判断したときに発行
2.吸入指導依頼書に関する薬局の問い合わせ先:発行元医療機関
3.吸入指導評価表の返信先:保険薬局が記載し処方元医療機関にFax送信
4.患者さんが吸入指導評価表を紛失されたときの薬局の対応:薬局が鈴鹿亀山薬剤師会HPから取得(照会は薬剤師会事務局まで)
5.吸入指導依頼書が出されていない患者さんに関する薬局の医師への報告:評価表もしくは服薬情報等情報提供書等を利用して報告
download 服薬情報等提供料に係る情報提供書 Word
2.吸入指導依頼書
1.の(1)の②に規定する処方医師が作成する「吸入指導依頼書」の様式および記載事例は以下のとおりです。
download 吸入指導依頼書(鈴鹿市医師会用) word
kyunyusidou-kisairei3.吸入指導評価表
1.の(2)の②において、薬局薬剤師が記載する「吸入指導評価表」の様式および記載方法は以下のとおりです。
download 吸入指導評価表(様式) Word
kyunyuhyoka-kisaihouhou4.吸入指導連携参加薬局名簿
鈴鹿亀山薬剤師会は、現在、鈴鹿市医師会様とも吸入指導連携して取り組んでいくことを検討しています。
吸入指導は全ての薬局で対応していますが、特に、鈴鹿市医師会様に所属の医療機関様との吸入指導連携に積極的に対応すると表明した薬局の名簿を掲載しています。吸入指導連携に参加する際の参考としてください。
5.吸入指導連携に関するQ&A
Q1.この吸入指導連携に関する患者さんの理解はいつ得るのですか。また、療法吸入指導依頼書と吸入指導評価表はいつ患者に交付しますか。
A1.吸入指導依頼書と吸入指導評価表は、医師が吸入指導の重要性と連携について説明及び同意を得たうえで、医療機関で交付をお願いいたします。したがって、処方箋と併せて、吸入指導依頼書及び吸入指導評価表を医療機関で同時に交付をお願いいたします。
Q2.吸入指導依頼書は必ず発行しないといけないのですか。
A2.薬局で吸入指導をさせていただく際に、医師の診察に基づく情報の提供は大変役立つ情報となりますので、発行をお願いいたします。
Q3.患者が薬局窓口で吸入指導依頼書(吸入指導評価表を含む)を提出しない(忘れている等)ことが予想されます。患者が医師から吸入指導依頼書を交付されたことを薬局は確認しますか。
A3.処方せんを確認して、吸入指導を依頼する旨が記載されているときは、患者さんに提出を促します。また、処方せんに記載されていないときは、患者さんに確認をして、患者が提出を忘れているときは、提出を促します。なお、吸入指導依頼書が出されていない患者さんに対しても、報告事項などがあれば、評価表などを利用して報告をさせていただきます。
Q4.どうしても薬局で対応できない時は指導依頼を断ることがありますか?
A4.この吸入指導依頼書は、強制力をもつものではありませんので、お断わりすることもあります。しかし、医療機関を受診された際に患者さんから同意を得ていますので、指導を行わなかった場合は、保険薬局から患者さんへお断わりする理由等のご説明をさせていただきます。また、お断わりした場合、その理由について医療機関に連絡させていただきます。その連絡方法として、電話連絡のほか、吸入指導依頼書又は評価表に①指導を断った理由②保険薬局名を記入しFAX送信させていただくこともあります。
Q5.薬局で指導時に、デバイスや薬剤の変更が必要と判断したときはどうしますか。
A5.変更が必要であると判断した理由を吸入指導評価表に記入した上で、Faxで医療機関に報告させていただきます。なお、患者さんがお急ぎである等、至急と判断した場合は、電話連絡をさせていただきます。なお、変更理由を記入する場所は「薬剤師コメント」欄とさせていただきます。
Q6.患者さんが保険薬局で指導を拒否された場合はどうしますか。
A6.患者さんが指導を拒否した場合は、行なうことができません。その際は、吸入指導依頼書又は評価表に①指導拒否されたこと、②拒否された理由(分かれば)、③保険薬局名を記入し、医療機関までFax送信をさせていただきます。
Q7.吸入薬を使用しているすべての患者さんに対して依頼をしないといけませんか。
A7.吸入指導依頼は、初回導入時やアドヒアランス不良等、医師が必要と考えられる患者さんのみに対して依頼をお願いいたします。
Q8.吸入指導依頼書を手に入れたいがどうすればよいか。
A8.吸入指導連携がスタートするときは、事前に配布させていただくとともに、所属団体等の御協力を得て、先生方の利用しやすいホームページ等からダウンロードできるような配慮をさせていただきます。なお、鈴鹿亀山薬剤師会ホームページからもダウンロードが可能です。
また、質問や疑問点があるときは、鈴鹿亀山薬剤師会事務局(☎059-381-2233)にお問い合わせをお願いいたします。
Q9.吸入後のうがいは、すべての吸入薬で必須ではないと思いますが、吸入指導評価表に項目があります。どのように指導されますか?
A9.うがいは、すべての吸入薬に必須ではありませんが、①吸入薬の口腔内への付着は服薬意図にないこと、②吸入薬によりうがいの有無を判断するとミスを生じる可能性があること、③鈴鹿亀山地域の薬局での服薬指導の統一を図ることからうがいは必須とさせていただいています。もちろん、患者から正確な理由を確認されたときなどは、指導の趣旨をていねいに説明させていただきます。
Q10.エアゾール型デバイスでは、吸入前の振とうの要・不要があります。どのように指導されますか。
A10.デバイスにより、手技を変更することは、ミスを誘発することとにもなりかねません。Q8 と同様に鈴鹿亀山地域の薬局での服薬指導の統一を図る観点からも振とうすることを必須とさせていただいています。もちろん、患者から正確な手技を確認されたときなどは、指導の趣旨をていねいに説明させていただきます。
Q11.医療機関の吸入指導対象の患者で、吸入指導依頼書が発行されていない場合、処方医師に服薬等の情報を伝えたいときは、どのようにされますか。
A11.吸入指導連携の患者に限らず、処方医に服薬情報等を連絡したいときは、緊急時には、直接電話等で連絡・確認を行い、緊急性がないときはこの評価表を利用して、あるいは「服薬情報等提供料に係る情報提供書」(調剤報酬点数表により定められた様式)又はこれに準じた様式の文書により連絡させていただきます。